勤務先から未払い残業代の支払いを受けるためには、労働問題が専門の弁護士に交渉の一切を依頼するのが最も確実といえます。もし、弁護士に依頼するのであれば、まずは労働契約書やタイムカードなど、未払い残業代があることがわかる証拠となりそうな書類をできるだけあつめて、法律事務所に行きましょう。大抵の法律事務所では、弁護士に何らかの事案を処理して欲しい場合は、先に法律相談を受けることになっているので、まずは弁護士と面談をしてじっくりと話し合いましょう。話し合いの結果、弁護士に処理を依頼することに決めたら、報酬として支払う費用などの条件を決めて契約を締結します。
正式に受任した弁護士は、まずは勤務先に受任通知を兼ねて残業代の支払いを求める文書を発送します。依頼してきた時期が未払い残業代請求に関する時効が成立する間際だった場合、そのまま交渉の準備を始めてしまうと途中で時効が成立してしまい、一部の残業代が支払われなくなる可能性があります。そのため、交渉の準備を始めるにあたって、最初に時効を中断させます。いきなり残業代請求の文書を発送するのはこのための手段の一つで、これにより最大で6ヶ月間は時効を中断させることができます。
勤務先に請求文書を発送したら、本格的に残業代の算定作業と、証拠となる資料集めに入ります。もし、依頼者が証拠となりそうな書類をあまり持ち合わせていない場合は、勤務先に対して就業規則やタイムカード、メールの履歴などの提出を求めます。そして、すべての準備が終わったら、弁護士が勤務先に赴いて直接交渉を行います。もし、相手方が支払いに応じる場合は、和解契約を締結して残業代を受け取り、そこから報酬を差し引いた額が依頼者の手に渡ります。
一方、交渉が決裂した場合は、労働審判や訴訟によって残業代の回収を試みます。