通常、労働者が週40時間、1日8時間の法定労働時間を越えて働いた場合、通常の賃金に25パーセントを増した残業代が支払われます。しかし、サービス残業という言葉が有名になったように、残業代が支払われない場合もあります。このような場合、支払われなかった分の残業代は、未払い残業代と言われます。未払い残業代の支払いをめぐっては、労働者と雇用者との間で、裁判になることもあります。
未払い残業代を労働者が企業に請求する場合、本当に残業していたかどうか、未払いの残業代があるかどうかなどを立証する必要があります。そのためには、タイムカードや勤怠記録などを保存しておく必要があります。また、社内で業務のために使用されたメールなども、労働者がいつ働いていたかを示す、重要な証拠となります。終電がなくなるまで残業し、タクシーを使って自宅に帰った場合には、運転手に領収書を作成してもらうことで、乗車時間の立証が可能になります。
基本的に雇用者は、労働者の勤務時間などを記録しておく必要があります。しかし、裁判においては、立証する側に証拠を示す責任があるので、未払い残業代の請求をする場合は、労働者自らが証拠を集める必要があります。ただし、業務に関して指示を与える書類や、残業中の業務内容が分かる内容のメールなど、あらゆるものが残業の証拠としては有力です。実際に裁判をする場合には、労働者だけでは不明な点が数多くあるので、弁護士に相談することが推奨されます。